英ポンド/円相場は、10月9日の1ポンド=154.73円をボトムに、157円台中盤まで切り返す展開になっている。米連邦債務上限を巡る議会交渉の進展期待を背景に、ドル/円相場が戻りを試す動きと連動して地合を引き締めている。
10月10日にイングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)が開催されたが、政策金利は0.50%、資産買取プログラムの規模は3,750億ポンドでともに据え置きとなった。8月に示された16年後半まで低金利政策を維持するフォワードガイダンスについても特に修整は行われておらず、全般的に特に手掛かりとなるような動きは見られなかった。9月の消費者物価指数(CPI)は前年比+2.7%となっており、前月と変わらず。こちらも特に材料視されていない。一方、9月失業者は前月比4万1,700人の大幅な減少となり(市場予測は2万5,000人の減少)、1997年6月以来で最大の減少幅を記録している。改めて英経済環境が堅調に推移していることが確認できるが、6~8月期の失業率は7.7%と高いレベルを維持しており、金融政策変更の目安となる7.0%割れにはまだ多くの時間が要求されることになる。特にポンドを売り込むような理由は見当たらず、ポンド/円相場の下値不安は限定的と見ている。
一方、米財政協議については、16日に上院で与野党が債務上限の延長で合意しており、少なくとも年内のデフォルトは回避できる情勢になりつつある。まだ下院の対応に不透明感が残るが、この問題が一服すれば、これまでの反動からドル/円相場が強含み易く、ポンド/円相場に対しても一定の押し上げ効果が見られると見ている。引き続き、じり高傾向を想定したい。
テクニカルでは、一目均衡表の基準線157.35、転換線156.38円と交錯する展開に。支持線は雲上限の154.60円だが、今月下旬は157円水準まで切り上がる。サイコロジカルは、前週の4勝8敗から5勝7敗に。14日RSIは55.89。